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Meryll
アルバム”You've Got Cousins"のリリースに際して行われたCookie Scene vol49でのMERYLLインタビューを掲載!テキサスのシーンについて、そしてMineralやMXPX!の名前も飛び出す興味深い内容満載。インタビューアーはライナーも担当した小林英樹氏
●まずはバンド・メンバーの紹介をお願いします。
アンドリュー・ヘルナンデス:ボーカル、ギター
カイル・ブラッドショー:ギター
アート・シルバ:ドラム

●MERYLL結成の経緯を教えてください。
アンドリュー:MERYLL用に曲を作り始めたのは2003年で、実家のベッドルームでだよ。テキサス大学に通っている頃の事で、学期の合間に数ヶ月かけたかな。その頃だよ、 "Window Seat"の最初のバージョンができたのは。(ボーナストラックである)"Governors at Sea"や "Willamette Industries"も初めて作ったデモに入れたよ。

その年の秋、大学の構内でアレックス・デュプリーに出会ったんだ。
彼は "You've Got Cousins" でキーボードとあと少しギターをやってもらったんだけ ど、もうバンドを辞めてしまったんだよ。今はソロと、あとはZookeeperってMineralのクリス・シンプソンのバンドでギターを弾いているよ。

カイルと僕は高校の頃からバンドをやっていたから、MERYLLでまた一緒にやるのは自然な流れだったよ。だから、ある日彼に電話かけて聞いてみたんだ、また一緒にやらないか?ってね。そしたら「もちろんに決まってるだろ!」って返事が返ってきたよ。

数ヵ月後、大学のカフェテリアで同じクラスの奴を見かけたんだ。それでデモを交換 した。 彼はThe Narrow Escapes名義で曲を山のように作っていたんだよ!それが後にMERYLL の ドラムとなる、アート(・シルバ)だったんだけどね。"You've Got Cousins"では主に ベースを弾いていたんだけど、2005年2月アメリカでアルバムをリリースした後、ドラムに転向したんだ。

●それ以前にバンドをやっていたなら、それもどんなバンドだったか教えてください。
アンドリュー:カイルと僕は高校の頃一緒にバンドをやっていたってさっき言ったけ
ど、それがバンドとして初めての試みで、それがMERYLLの前のバンドという事になるね。すごく楽しかったし、何よりもバンドをやる上でいい勉強になった時期だったよ。アートは彼のバンド、The Narrow Escapesで忙しくしているみたいだよ。

カイル:でも、高校の頃作った曲は誰にも聴かれたくないな。いいもんじゃないからね。だから失敗を重ねて、そういう過去の経験から学んで今に生かせてよかったと思っているよ。


※ヘルプベースのステファニーと

●MERYLL結成にあたって、「こんなバンドにしたい!」みたいなコンセプトはありましたか?
アンドリュー:こうしたいっていうイメージはあったね。曲を作っている当時はもうラウドでカオティックな音に飽き飽きしていたんだ。だから、クリアかつ控えめな音にしたかった。そういう風になったかどうかは分からないけど、それが最初の目標だったよ。

カイル:僕はもうただ単にありふれたロックをプレイするのも、聴くのにも飽きてた。MERYLLは今まで自分が聴いて来たものと全く違うものにしたかった。その目標がちゃんと達成されたかどうかは分からないけど、でもこのアルバムはすごく独特な雰囲気を出していると思うし、聴く人の音楽に対する知識や流行廃りに頼ってないと思うんだ。MERYLLのありのままが形になっているんだよ。

●お手本になるようなバンドはいましたか?
アンドリュー:いないよ。自分らしくない何かを試すのは気が引けるからね。今回アルバムを作り上げるまでに僕らはひとつのグループとして落ち着いた。それがどんなグループであろうとね。僕らが他のバンドを手本としなかったのはどんなに全員の音楽的嗜好が似ていたとしても、それぞれの好きなバンドは違うからなんだよね。アートが気に入ったとしても、カイルが耐えられなかったり、

僕がすごくいいと思う事もアートにとってはありえない事だったりするんだ。だから僕ら三人の接点がMERYLLの曲となっているんだと思うよ。

カイル:もちろん尊敬するアーチストやバンドはいるよ。でも、MERYLLを始めたその日から、
MERYLLっていうバンド自体を存在させたかったし、他のバンドが何をやっていようと、プレイしていようとそれに左右されないようにしてきた。僕らはそれぞれ、色んなアーチスト・ライター・ミュージシャン・映画監督なんかに影響を受けてきたんだ。だから僕らの曲を聴くと、どこかで聴いた事があるように思えるかもしれないけど、そこら辺の在り来たりな曲には決してなっていないと思うんだ。

●なぜESOTYPEレコーズからリリースすることになったのですか?
アンドリュー:Esotypeが唯一リスクを背負ってまで僕らのアルバムを出そうとして
くれたからだよ!(笑)今までレーベルにデモを送った事って一度もないんだ。自分たちがま
だまだだと思っていたからね。Esotypeからオファーがあった時は、真っ先に受けたよ。
イーサン・デュレルの大ファンだったからね。彼はEsotypeの第一弾アーチストだった
んだよ。

●ESOTYPEレコーズはどんなレーベルですか?
アンドリュー:Esotypeはテキサスのスプリングに拠点を置く、ジェフ・プライスが経
営しているアンダーグラウンドなレーベルだよ。まだいくつかのバンドしかいないけど、団結力のある小さなコミュニティーって感じだよ。毎年毎年、腐るほどいるバンドのどうでもいい
アルバムを出しているレーベルとは訳が違うよ。彼らが一番大切だと思っている事は、音楽はアート(芸術)の一環であるという事。バンドの可能性や方向性を尊重して、他の数あるバンドが既にやったような事をまたやるのではなくて、他とは違う何かを作り出すことに重きを置いてるんだ。

●さて、ファースト・アルバムですが、本当に素晴らしい!こちらも何かコンセプトはありましたか?
アンドリュー:(笑)ありがとう!
カイル:そうだねえ、学校と仕事とバンド、全てを同時進行していて大変だよ。そんな苦労を乗り越えて、胸を張って売り出すことができる作品が作れてすごくうれしいよ。

●制作はどのような形で行なわれましたか?
アンドリュー:アルバム制作は一つ一つの行程の積み重ねだったよ。全員がスタジオ入り した事は一度もなかったね。"Dotted Lines"以外はアルバムの曲は全て自分達で プリプロを済ませていたからさ。だから、スタジオに入った時にはどこをどうするか はもう 分かっていたんだ。「このパートにはアコギを使おうか、今まで通りエレギでいこう か」とか それ位だったね、決めなきゃいけないところっていうのは。かなりスムーズだった ね。

唯一新たにやった事といったら、自分達でサンプルを作った事かな。"Inside on a Day"で
聴けるよ。スケボーが床に落ちる音、アレックスがドアをロックする音だね。レコーディングの一年位前に作ったんだ。このサンプルが日の目を見れてよかったよ。それを家でアレンジを加えて、それでファイルをテキサス、スプリングのスタジオに転送したんだ。

レコーディングはジェフ・プライスの家でやったよ。ボーカルはほとんど、玄関の近くで撮ったんだ。木の階段のある、大理石の床の大きな部屋だったよ。ごめんね、つまんないよね、こ
んな話......でも、僕、レコーディングが大好きなんだよね。だからレコーディングの話となるとアツくなってしまうんだ。

カイル:全員でレコーディングに臨めなかった分、時間的に拘束されていたよ。学校や仕事に戻る前に、予め予定されていたギターパートを限られた時間内でレコーディングしなければいけなかったからね。だから、すごく集中的だったね、実験的な試みは一切なかったよ。だからこそすごくまっすぐなアルバムに仕上がったんじゃないかな。それでも、少しは変わった事をやるチャンスもあったからアルバムに個性を加えられたと思うよ。

アンドリュー:僕らの数々の実験的試みはレコーディングの何ヶ月も前にしてきたからトラッキングをする頃にはどこに何を入れるかは分かっていたよ。

●とにかくメロディーが素晴らしいです。どんな感じで曲を作っているのですか?また、何を表したいと思っていますか?
カイル:アンドリューが曲を作って持ってくると、まず、「どうやってギターをのせたらこの曲に
合うだろう?」って思うんだ。人の心を掴むような何かをプレイするって難しいことだよね。曲にフィットするようにギターをのせるのが僕の役割だし、アンドリューの書いた曲
に敬意も表しているよ。試練と失敗の繰り返し、どのパートに何が一番フィットするかを見つけていくんだ。

アンドリュー:僕らって、ジャムったら本当にひどいんだ。ジャムり始めたら、間違いなくおかしくなって吹き出すだろうし、聴くに堪えない思うよ。僕らの曲に聞こえないんじゃないかな。だから、まず、少なくともラフバージョンだけでも曲を撮ってそれを残りのメンバーに聴かせて、それぞれ自分のパートを加える。これが僕らのやり方。練習の前にこの過程がきちんとしてればしてるほど、うまくプレイできるんだ。

●最近のシーンは、ディスコパンクやポストロックなど、あまりメロディー〜歌を全面に出していないバンドが多くなっていると思うのですが、MERYLLは本当に歌を全面にしていますね。それはどうしてですか?シーンへのアンチテーゼ…みたいなものがあるのですか?
アンドリュー:いや、別にアンチディスコパンクやポストロックって訳じゃないよ。実際にポストロックって呼ばれるアルバムをたくさん持っていて好きだし。自分が作ったメロディーに対してどう考えてるかは分からないなあ。自分自身の中にあるものを温存しているんだ。最近曲って保存がきくものなのかどうか考えるよ。デモを撮ったとして、その事を忘れてしまったとしたら、その曲をいつ再び聴くかどうか分からないよね。でも、その晩中ずっと聴いて、その次の日もずっと聴けるなら、その曲は価値があるって事だよね。

カイル:僕は大抵作曲なんかに関わっているよ。そこで色んな感情を表すんだ。そうする
事によって聴いてて楽しめるものになるからね。こういう面がある限り、僕自身楽しめると思うよ。僕は今の所モダンロックには興味ないから、いつだって考え抜かれたいい曲を作る事だできるんだよね。

●あなた方の音楽には90年代からののUSインディー…PAVEMENT、BUILT TO
SPILL、PINBACKや、更にUKグラスゴー勢…TEENAGE FANCLUBとか、BMX
BANDITSとかに通じる優しさ、せつなさが漂っていると感じます。その辺りのバンドはお好きですか?そうだとしたらどこが魅力ですか?

アンドリュー:ピンバックのあの、変わったギターが好きだね。あと、あのテクノなっていない
ドラムのサンプリングもいいよね。すごくいいと思う。サンプルとプログラミングの可能性を追求したい気分にさせてくれるよ。今までにこういったサウンドで気に入ったのってなかったからさ。

アート:60,70年代のメロディーのいいポップロックには常に注目してきたよ。少し例を挙げるとすると、Teenage Fanclub, BMX Bandits, The Lucksmiths,The Primary Fiveなんかがいい例だと思うんだ。彼らは60,70年代のサウンドを上手く取り入れて、全く新しいものを作り出してるよね。ただ単に、自分たちが影響を受けたバンドのコピーをして、安っぽいサウンドを作るバンドは大嫌いだよ。

あ、あとね、BMX Banditsも僕が曲を作る上ですごく影響を受けたよ。だからThistimeのコンピでMERYLLが彼らと一緒になるって聞いて、えらい驚いたよ!僕はさ、アメリカのバンドもすごく好きだけど、80年代から現在にかけてのいい音楽ってニュージーランドとかオーストラリアとかイギリスから渡ってきてると思うんだよね。

●それでは現在好きなバンド、共感出来るアーティストを教えてください。
カイル:Wilco, Rilo Kiley, Bruce Springsteen, Paul Simon, Elvis Costello。 「共感できる」かどうか分からないけど、彼らのようなソングライティングが できればいいなって思うよ。

アンドリュー:MxPx(信じられないでしょ) Starflyer 59, Yo La Tengo, Damien Jurado, Dosh

アート:The Beatles, Jonathan Richman and the Modern Lovers, The Magnetic Fields, The Judy's, Big Star, Elvis Costello, The Lucksmiths, Scott Walker, Pulp, Os Mutantes, Television Personalities, Braid

●日本デビューを果たした今のお気持ちを。
カイル:未だに信じられなくて、頭の中で上手く理解できてないよ!

アンドリュー:わかんない!(笑)リリースはすごくうれしいんだけど、日本って遠く離れているから、未だに実感がわかないんだ。全然現実味がないんだよね。友達に、アメリカより日本のほうがファンが多いんじゃないかってからかわれたよ!アルバムをリリースして、その後どうなるか楽しみだよ。いつかライブをしにいけたらいいな!フジとThistimeのみんな、ありがとう。

アート:リリースの話を聞いたとき、超興奮したよ!日本の音楽に対してオープンだし、寛容なところがいいなって思うよ。日本のバンドっていったらEastern Youth, Shonen Knife, the Pizzicato Five位しか知らないけど、この三つのバンドだけ見ても、いかにただの「日本的」なサウンドにおさまっていないかっていう事が分かるよね。もちろん、これは僕みたいな外国人の一意見だけどね。日本にはいつか行きたいと思ってたし、ライブもしたいって思ってたから、本当にリリースできたことはうれしかったよ。

●最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
アンドリュー:近いうちに会えるといいね!アルバムを聞いてくれてありがとう!気軽にメール送ってね。僕たちの曲を聴いてくれた人からメールをもらうのはうれしいからね。

アート:僕らはみんないい奴らだから怖がらないでね。東京でもどこでも僕らを見かけたら声かけてよ。新しい出会いは大切にしないとね。あと、もし英語と日本語両方話せるようだったら、日本語教えてよ!

対訳 Shoko Saitoh

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